カテゴリー別アーカイブ: 神社・仏閣

椿尾から富山市の長慶寺へ50年かけて運んだ五百羅漢像

長慶寺 五百羅漢像

富山県富山市五艘にある曹洞宗のお寺、法羅陀山 長慶寺(ほらださん ちょうけいじ)。この境内にある五百羅漢(ごひゃくらかん)は、真野の椿尾の石工たちが作ったと羽茂の大蓮寺の和尚にお聞きし、いったいどんな大きさなのか、どんな表情なのか、石の質はどんな感じなのか、見てみたくなって富山まで行ってきました。
新潟駅周辺のレンタカー屋さんで車を借りて、高速道路で約250km、3時間ほどで到着です。少し高台にあり、さらに上に行くと呉羽山展望台もあって、富山市街の夜景スポットとしても有名なようです。

法羅陀山長慶寺

駐車場に到着すると少し高台にあるおかげで、富山の立山連峰や剱岳などの名峰が一望出来て、眼下には富山市街の街並みがずらりと立ち並び、大都会と大自然の融合した見事な景色が広がります。

この立山連峰はその昔、死んだら越中立山地獄に堕ちると信じられていて、その地獄に堕ちた亡者を救うべく、「桜谷の大仏」といわれた地蔵菩薩を本尊として建てられたそうです。山号の法羅陀山(元来は佉羅陀山と書くようで、地蔵菩薩の浄土の名)もその名残で、今は明治の廃仏毀釈により本尊は釈迦如来に替わり、仏頭のみが鎮座することとなったそうです。

ちなみに富山には地獄のテーマパークがあります→立山博物館まんだら遊苑
そして日本三大地獄と言われる地獄谷もありますが、現在は火山活動が活発化している為に立ち入り禁止となっているようです。

長慶寺 立山連峰

五百羅漢入り口に、池渕柳富斎と書かれた石碑がありました。柔術は天神真楊流、剣術は白井流を修め、武徳会の役員もされた方のようです。その後ろに並ぶのは三十三観音でしょうか。おそらくこちらも佐渡の石工たちによって掘られたものだろうと思われます。

五百羅漢

長慶寺の五百羅漢のことは大蓮寺の和尚にお聞きしたわけですが、この五百羅漢は黒牧屋善次郎という廻船問屋の商人が全国から寄付を集め、佐渡の石工に依頼し、北前船で約五十年の歳月をかけてここに運んだそうです。仏像一体が1m近くあるので、かなりの重量です。

しかし何故わざわざ佐渡から富山まで運んだのか?大蓮寺の和尚いわく、黒牧屋善次郎が大蓮寺の五百羅漢像を見て、自分のところにも欲しいということで、椿尾の石工を紹介したのがきっかけだそうです。

五百羅漢

真野の椿尾で石を切り出し、手彫りで石工たちが石仏を掘り、数体完成したら富山から北前船で北海道に米を運んだ帰りに、船に積み込み富山湾まで運び、川から遡り境内へと運ぶ。これを五十年かけてやっと安政元年(1854年)にすべて完成し、五百羅漢を安置出来たのですね。

古いものは今から200年以上前に造られたものとなります。この五百羅漢は昭和46年3月に富山市の文化財に指定されています。

五百羅漢
長慶寺 五百羅漢

ところどころに輪袈裟がかかった羅漢像を見かけます。色とりどりの輪袈裟を願掛けのために、4月18日と10月21日の五百羅漢祭りに奉納されます。1本500円で、もともとは長慶寺の信者さんの祖先を供養するために奉納していたのが、願掛けするようになったのだとか。お地蔵様に輪袈裟をかけるのは、このあたりの風習のようです。

長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢

羅漢というのはもともとは阿羅漢(アラカン)と言い、サンスクリット語でアルハットに由来し、仏教において最高の悟りを得た尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のことで、略称で羅漢と呼ばれるようになったそうです。五百羅漢とは、仏陀に常に付き添った500人の弟子たちのことだそうです。

長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢
長慶寺 五百羅漢

賓頭盧尊者
賓頭盧尊者

賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)の坐像が本堂の近くにありました。撫でると除病の功徳があるとされますが、他地域から来てご利益を得ようというのもおこがましいので、やめておきました。手を合わせるのみといたしました。

地蔵菩薩

本堂すぐ横には木の洞の中に安置されたお地蔵様がいらっしゃいました。もともとの本尊は地蔵菩薩ですもんね。

長慶寺
長慶寺

本堂でお参りを済ませ後ろを振り返ると、ここも絶景。富山市街を一望出来るところにご本尊も安置されているわけですね。長い年月をかけて佐渡から富山まで運ばれた五百羅漢に会えて、ちょっとだけ誇らしい気持ちになりました。
徐々に風化されその表情が失われる前に佐渡で作られた五百羅漢を拝みに行く旅というのも、ご利益ありそうな感じですよね。

ちなみに、近くに茶室のある円山庵という茶屋があったので、一服させていただきました。

円山庵
抹茶

法羅陀山 長慶寺
〒930-0882 富山県富山市五艘1882
076-441-5451

長谷寺のウサギ観音Tシャツの売上金の一部(10万円)を寄付

ウサギ観音Tシャツ

今年3月にウサギ観音Tシャツ(販売価格3000円税別)を販売し、長谷寺の庫裡の屋根補修に少しでもお役に立てればと地元のTシャツプリント屋さんである、東屋PRINT FACTORYさん、デザインを請け負っていただいたリューズデザインプラスさんで作成いたしました。

販売しておよそ8ヶ月で100000円弱が集まり、12月17日に長谷寺に寄付してまいりました。
もともと檀家が少ないお寺で、観光バスも立ち寄らないルートから外れたところに位置するので、お寺を維持する維持費がないそうで、檀家も高齢化していて、大変であるというお話も伺っておりました。これは全国でも同じようなことが起きていて、檀家の少なくなってきたお寺さんでは、お寺の修繕費や住職の生活費すら副業で賄っているというお寺も少なくありません。また、後継者不足により住職不在のお寺もあり、一人の住職がお寺をかけもちしながら維持しているところも全体に2割にものぼるのだとか。

よくお寺でコンサートをしたり、ヨガをしたりと、お寺に人が集まるようなことを手掛けながら模索している事例を目にしますが、本来のお寺は地域のコミュニティを担う拠り所でもあったと聞きます。もちろんそれは住職のお人柄が第一でしょうけども。

今回の事例は、たまたま「ウサギ観音建立」という奇想天外なストーリーが世論にウケたのを狙い、Twitterでの発信、それを見つけた各テレビ局や新聞記事などでの拡散、それを見た若者たちが集まることによるお賽銭増加。ただ、ここまでだと一人5〜10円ぐらいのお賽銭が入る程度ですが、このタイミングでTシャツ制作で寄付金を100000円集めることが出来たのではないかと思います。タイミングがよかったというのと、勢いがあるうちに乗れたということでしょうか。

寄付したお金の使いみちは税金と同じく、何に使うか指定は出来ませんが、、、可能ならお寺の修復に使っていただきたいところ。外来種であるウサギの放し飼いも問題視されていますし、課題は山積みの事案ではありますが、来年も寄付ができるよう尽力したいと思います。

天領佐渡両津薪能 紅葉狩

天領両津薪能 紅葉狩

9月7日土曜日に開催された、天領両津薪能の演目は紅葉狩。ツレさんが4人も登場する豪華な始まりです。
今回はSONYのα7RⅣが(9/6発売)ちょうど手元に届いたばかりなので、その機能も試すべく撮影してまいりました。使用したレンズは85mmと24mmのSONYのGM単焦点レンズで撮影。本来はカメラ2台でバシバシと撮影すれば良いのでしょうけど、私はいつも現場でレンズ交換しつつ撮影しております。落としたり、ホコリがセンサーに入るリスクもあるのですが、まぁ後で掃除すればいいやという安易な考えのもと行っております。

さて、佐渡の薪能については撮影OKなものが多く、薪能の幽玄な世界をカメラに収めたいというカメラマンの方にも人気です。わざわざ薪能の撮影の為だけに、泊りがけで佐渡にご来島される方もいらっしゃいます。

天領佐渡両津薪能

天領佐渡両津薪能は5月~10月(8月を除く)までの第一土曜日の19:30より開催され、協力金としてお一人様1000円いただいております。
薪能・狂言・文弥人形カレンダー

この日は火入れ式に間に合わず、既にツレさんが登場した後でした。
撮影の話で少々マニアックではありますが、暗部までしっかりと記録されたRAWデータを現像した時は驚きでした。このカメラの性能は以前よりも比べて格段にすごいとは思っておりましたが、ここまでとは!と驚きを隠せません。そして、以前使用していたα7RⅡのシャッター音に比べると半分以下の音量やシャッターショック。(α7Rのシャッターショックは酷かった)薪能のような静まりかえった雰囲気での撮影でも、遠慮なくシャッターを押せます。

紅葉狩
紅葉狩
薪能

紅葉狩のお話は観世小次郎信光作で、船弁慶や鐘巻(道成寺の原型)といった鬼退治も入ったチャンバラ入った見応えある演目。
4人の女性が紅葉を見ながら宴を催していたところ、通りかかった平維茂に一緒にどうですかと声をかける。美しい女性にお酒を注がれ、酔いつぶれてしまいます。武内の神が酔いつぶれた平維茂の夢の中に現れ、平維茂を篭絡した女は戸隠山の鬼女であることを告げ、八幡大菩薩からの下された神剣を平維茂に授けます。夢から覚めた平維茂に姿を現した鬼女が襲いかかり、激しい戦いの末に神剣で鬼女を退治します。

紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩

昔は音声ガイドイヤホンがあったので、解説を聞きながら観覧出来たのですが勿体ないですね。(機材の用意や人員がいるので中々難しいのですが。)
入り口で渡された資料を見ながらとなると、暗いので見えないし、明かりをつけると雰囲気壊しちゃいますからね。とはいえ、撮影するなら事前に演目がわかっているでしょうから、予習して撮影すると良いでしょう。何もわからないで撮影するのと、この能の演目の見どころはこういうところであると事前にわかって撮影するのとでは、作品の出来が違ってくるでしょう。

紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩
紅葉狩

薪能は薪が燃えるパチパチする音や、コオロギたちが鳴く音、風の音、すべてが音響であり雰囲気を楽しむ演出であると思っております。これは写真では表現しきれません。また、この日は夜空には星空が美しく見えていた日でもありました。これは肉眼で見ないと舞台と星は一緒に写せません。今回85mmと24mmの単焦点レンズでの撮影でしたが、あまり望遠で撮影してもキレイに撮影出来る自信がないのと、見ている側に臨場感が伝わりにくいし、全体的な雰囲気を見ていただきたいと思ったので、このレンズをチョイスしました。一番うしろから55mmぐらいのレンズで撮影するのも良いかもしれません。

薪能

撮影される際には、補助光やフラッシュ、カメラのピント音などを消してから撮影しましょう。(オフに出来る機能があれば)スマートフォンで撮影される際には、フラッシュをオフに、そして前列で高く掲げて撮影されるのはおやめください。当然ではありますが、携帯着信音はオフにしておきましょう。最低限のマナーです。
また、ここは神社の境内でもありますので、始まる前か終わった後にはお参りを済ませることをおすすめしたいです。

ぜひ佐渡の薪能の撮影に起こしください。