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何故?佐渡牛が美味しいのか秘密を探るべく、堂林放牧場へ征く。

佐渡の金井地区の山手にある、佐渡市の管理する堂林放牧場へお邪魔しました。
勝手に行ったわけではなく、今回は佐渡市役所農業政策課 生産振興係の方のご許可とご案内をいただくべくアポをとっておきました。

今まで、牛の生産者の方やJAの方からお話を聞くことはあれど、行政の方から畜産のことについてお話を聞くのは初。堂林牧場に到着すると、さっそく遠くの方から牛を呼び寄せる役所職員。市役所の職員さんが飼育のことをガッツリやれることにびっくりですが、知識量が生産者さんと同等かそれ以上なのではと感じざるを得ません。

今回の目的は牧場のドローン撮影と、牛の様子を撮影させていただくべくアポをとっていたわけですが、佐渡牛の畜産知識についても市役所職員さんからお聞き出来たので、備忘録としてブログに綴っておきます。

堂林放牧場の佐渡牛を撮影したYouTube動画はこちらです。

堂林放牧場は金井地区の平清水をさらに上がった山の高台にあり、国中平野を一望出来る眺めの良い場所。牛さんたちも気持ちよさそうに、草を喰み、のどかな牧歌的風景の典型的ともいえる景色を堪能できます。この放牧場は佐渡市の公共牧場となっていて、広さはおおよそ20ヘクタールあるそうです。
佐渡島の牧場は他にも、関岬放牧場、青木牧場、坪山牧場、経塚放牧場、二ッ岩牧場とあります。

堂林放牧場に入牧させるのは、4月下旬ころ。放牧される牛は、ほとんど繁殖牛で肥育牛の放牧はしません。入牧させる際には、牛たちは大喜びで飛び跳ねたり、柵を飛び越えてしまったりと大はしゃぎするそうで、その様子も見てみたいものです。中には興奮のあまり有刺鉄線に突っ込んで怪我をする牛もいるとか。

撮影に訪問したのは10月頃でしたが、わらびの成長した株がいくつもあり、きっと早春はわらびでいっぱいなのでしょう。市役所職員さんに聞くと、たまに牧場見学のついでにわらび採りもする方もいらっしゃるようで、むしろありがたいとのこと。牛はわらびを食べることはないが、牧草がなくなると食べてしまうこともあるのだとか。わらびを食べるとわらびの中毒成分であるプタキロサイドによって骨髄機能が障害され、血液凝固不全が起こり、出血により重症の場合は1〜3日で死んでしまうこともあるのだそうです。

また、ちょっとした窪みに嵌って起き上がれなくて牛も死んでしまうことがあるとか。約500kgある巨体の牛は自分で起き上がることが出来ず、胃の中のガスが排出されず胃が膨張し、心臓を圧迫して死んでしまのだとか。起き上がれない牛を見つけたらすぐに起こすそうです。

畜産農家の方は、春の放牧で牛を預けて秋まで放牧させます。もちろん経費はかかりますが、預けている間に田んぼをやったり、他のことが出来るので良いのでしょうね。肥育より繁殖をやる畜産農家さんが多いことも頷けます。肥育の場合は自分の牛舎で育て、毎日の世話があるので、旅行にも出かけられないと聞いたことがあります。

放牧場にぽとりと置いてあったレンガのようなものを、牛が舐めていたので、市役所職員さんにお聞きすると、これはミネラルブロック(鉱塩)といって、尿石症の予防や微量ミネラルの補給のために置いてあるそうです。牛も自分のカラダに必要なものを、わかって摂取するんですね。
余談ですが、家の玄関入り口に盛り塩をするのも、牛の舐塩行動が由来するそうで、平安時代の頃、縁談を待つ女性の家の前に盛り塩をし、牛舎に乗った男性貴族を立ち寄らせようと、牛を足止めするのを目論んで置いたのがはじまりだとか。

佐渡牛は黒毛和種という和牛の品種ですが、よく見ると茶色です。黒ぽい茶色といいましょうか、焦げ茶色というか、そんな色をしています。肥育牛の牛舎の中にいる黒毛和種の牛は、それこそもっと黒っぽいのですが、どうやら放牧で外にいると紫外線により毛色も茶色っぽくなるようです。ちなみに、生まれたての子牛は茶毛です。

放牧場は豊富に草が生えているので、資料として牧草を与えることは牛小屋で育てるよりは少ないのですが、ゼロではなく、時々与えています。減反で青刈りした稲わらを乾燥させ発酵させることで、カビが生えないようにするのと、ビタミンやミネラルを凝縮するのと、乾燥した牧草を食べることで唾液分泌が多くなり、第一胃の内の働きと発酵を良くし、胃の健康維持にも役立つのだとか。
佐渡のトキの棲む田んぼで、安心安全な稲わらを食べて、ミネラル豊富な牧草を喰み生活している佐渡牛たちから、健康的な子牛が生まれ育ち、天塩にかけて育てられているのだなと感じました。

今回撮影させてもらって、知られざる牧場での牛の生活を垣間見ることが出来ました。
牛舎でのお話も色々とお聞きしたのですが、今回は書ききれないので、また牛舎に取材に行った際に記事にしたいと思います。

美味しい佐渡牛が出来るまで、色んな人の手がかかっているのだと認識しました。
感謝して、いただきます。

幻のご当地牛 佐渡牛のサーロインステーキ

佐渡牛のサーロイン
「この彼女(お肉)は僕の好みです。」
そうおっしゃったのは、かの有名なGACKT様。PLATINUM BOX ~XII~に収録されている、ぶらり当選者の旅でのひとこま。
未だに聖地巡礼なのか、ファンの方が佐渡牛を食べる為レストラン&バーこさどにご来店いただき、GACKT様が座っていたところはどこですか?と聞かれるようです。

ちなみに、この佐渡牛ですが子牛の時は放牧されることが多く、自然の豊かなところでのんびり草をはみ育ちます。年に3回セリ市があり、子牛のほとんどは島外へと出荷されます。

佐渡牛放牧

佐渡に残った子牛が肥育されて、肉用牛として育てられ島外でお肉になります。
年間屠殺頭数も少なく、幻のご当地牛と呼ばれております。しかしながら、品質もよくお肉の風味が濃厚であること、脂身の融点が低く口の中で旨味がとろけるのでジューシーであること、また佐渡牛Facebookページに記載されている、日経BP社 牛肉が消える!(著者:横田哲治)で以下のように記載されています。
第五章ブランド和牛に未来はあるのか
139ページより一部抜粋

新潟県は佐渡牛があるが、いまでは佐渡牛はほとんどいない。数量が生産されていないが、私は日本一おいしい和牛だと思っている。日本海の潮風にあたり、自然の中で放牧された佐渡牛の、香りが強くて甘く、やわらかい肉は、松阪牛や神戸牛にない特色が感じられた。しかし残念なことに、生産量はごく限られている。

佐渡牛ステーキ

佐渡牛のサーロインステーキは、島内で予約なしで食べられるところがレストラン&バーこさどのみ。ステーキに最適なサーロイン部分に塩コショウで下味をつけ、熱したフライパンで一気に表面を焼き上げ、旨味を閉じ込めます。この脂身の部分こそ旨味がたっぷりで、口の中でとろりととろける旨さになるのです。

佐渡牛ステーキ

120gでも十分ご堪能いただけますが、出来れば奮発して240gの厚みのある佐渡牛ステーキをおすすめします。
佐渡牛のサーロインステーキ 120g・・・4600円(税別)
佐渡牛のサーロインステーキ 240g・・・9200円(税別)

レストラン&バーこさど
http://www.kosado.com/
佐渡市真野新町275-2
TEL:0259-55-4004
営業時間:11:00~14:00 17:00~22:00
定休日:毎週水曜日

ドンデン山の放牧牛とリンドウの群生は秋の行楽にピッタリ!

リンドウの群生

秋空の中、天気も良いのでドンデン山へと向かいました。
目的は放牧牛に逢いに行くのと、リンドウの群生を見に軽くお花見トレッキング。

両津港から車で約30分程のドンデン山荘に向かうと、途中運が良ければ放牧牛に出逢えます。
草原に牛がいる風景をこんなにも間近で見られることは、非日常的だと思いませんか?(畜産農家さんを除く)
ドンデン山荘からの眺望
ドンデン放牧牛
放牧牛

ただ・・・たまに道路に出ていたり、道路におとしものをしたり・・・交通の面から言うと若干気をつけなければいけません。
牛糞

ドンデン山荘から尻立山へと向かい、その先のドンデン池へと向かうこと30分程。
ザレ場の様子が標高の高さと厳しい環境を物語っています。このザレ場は歩きにくく、かなり斜度もあるので気をつけて歩きましょう。なるべく草の生えているところや、足場のしっかりしていそうなところを歩くようにしましょう。
尻立山
ザレ場

道中にはヤマハハコ(ヤマホオコ)の群生がこの時期見事に咲き乱れています。
佐渡の植物学者の故・伊藤邦男先生はこの花を佐渡のエーデルワイスであると著書に綴っています。
ヤマハハコ
佐渡のエーデルワイス

他にも、ウメバチソウやセンブリ、イブキジャコウソウ、ノコンギク、マルバキンレイカ、ネジバナ、ホツツジ、キンミズヒキ、オトギリソウ、リンドウ、サドアザミ、ツルニンジン、ツリガネソウなど沢山の山野草に出逢えます。この時期はヒョウモンチョウによく出逢います。たまにアサギマダラに逢えることも。
センブリ
ウメバチソウ
ノコンギクとヒョウモンチョウ
サドアザミ
ツルニンジン

さて、お目当てのドンデン池近くのリンドウの群生地へと向かいます。
赤い屋根の山小屋が見えてきたら、もうすぐです。この山小屋の右側に見えるのがドンデン池です。この景色が見えたら斜面を下るわけですが・・・もちろん帰り道は上りになるわけです。山登りに慣れていないと、相当つらいかも知れません。
山小屋

遠目に見ても青い塊が見えるぐらい群生しているので、足取りも軽くなります。
ドンデンのリンドウ大群生。今がちょうど見頃です。
リンドウの群生
リンドウの群生

ドンデン山のトレッキングシーズンは主に早春のイメージが強いのですが、9月も十分愉しめます。
また10月ぐらいになると紅葉が始まりますので、これまた愉しめます。
そして・・・秋には美味しい食材が沢山!果物(おけさ柿、イチジク、リンゴ、ナシ、ぶどう)、旬の魚(アオリイカ、ヤリイカ、ノドグロ、イナダ、アマダイ等)も美味しくなります。10月には各所で地元の祭礼もあります。

いいですよ~秋の佐渡。

当館からドンデン山荘への地図