第一発見者は羽茂の岡崎さん。
私の山野草先生であります。
佐渡の湿原は道路拡張や森林伐採等の自然破壊により、徐々に失われつつあります。
そしてその末路はこのような貴重な山野草の自生地への壊滅的打撃であります。
かつての朱鷺も同じ末路を辿り、現在自然界復活の兆しをみせております。
この発見した新芽がトキソウなのか、サワランなのか・・・花が咲いてみないとわかりませんが、佐渡の山野草界ではビッグニュースになると思われます。
このモウセンゴケの先にあるつぶつぶは粘液で、この粘液についた小動物を捕食します。
この毛氈苔の花が咲く頃、おそらくこの新芽もトキソウなのか、サワランなのか判明すると思います。
どちらにしても、この貴重な蘭が発見された湿原は守られるべき貴重な湿原であることは確かです。
その離れたところで工事がすすめられているので、もし、こちらの湿原に影響するような工事が急に行われることがないように、注視していきたいと思います。
最後に、佐渡の植物学者伊藤邦男先生の著書からトキソウに関する記事を抜粋させていただきます。
空を翔けるトキの群れをみてから長い年月が立つ。
昭和52年9月、小佐渡の杉池から赤玉へ下る山あいの空を5羽のトキの群れが翔けた。
トキの群れをみたのは、最初で最後であった。
全鳥5羽捕獲作戦(昭和56年)が行われトキはもう空を翔けなくなった。
トキソウの群生に出会ったのは昭和52年、海抜220㍍このミズナラ林に囲まれた5×100㍍の小さな湿原は6月の光がまばゆい。
「ひた探す朱鷺草群れて花咲けりすげ湿原光芒のなか」。
花はトキ色というより白っぽい。
シロバナトキソウであったが、花の群れは鳥の群れ、翼を広げ空翔ける白いトキの群れにみえた。
トキソウは200株はあった。
翌年は20株くらいに減った。
「トキソウ自生の湿原」として県の特定(重要)植物群落に指定されたが、10年後、この湿原をくまなく探してもトキソウは1株もみつからなかった。