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たらい舟(はんぎり)職人金子啓次さんのたらい舟制作現場

たらい舟作り

佐渡島はたらい舟保有台数が世界一!昭和60年代にはおよそ200艘あったと言われております。(小木たらい舟製作技術保存会調べ)今では使われなくなってしまったたらい舟も含め、およそ100艘まで減ってしまったようです。(新潟県調べ)
そんなたらい舟ですが、実は制作する方も亡くなり詳しい資料とかも残されていなかったと、ダグラスブルックスさんの「佐渡のたらい舟」という書籍に記されておりました。こちらの書籍には事細かく、設計図や道具、たらい舟の歴史や現在の使われ方などが書いてあり、大変参考になります。
ですが、、、やはり実際にたらい舟を作っているのを見てみたい!

そんなことで、実際たらい舟を作っている金子啓次さん(宿根木のはんぎり)のところにお邪魔してお話を伺いました。ちなみにはんぎりとは、樽を半分に切ったような底の浅い桶のこと。

竹釘

たらい舟は海で漁具として使われるもので、磯ネギ漁で漁師さんが舟として今でも使っているものです。小木地区の海岸は海底溶岩が隆起して出来た地形で、ゴツゴツして入り組んだ岩場となっており、海藻や貝類など生息しやすい磯となっています。細長いボート状の舟ですと、小回りが効かないので、たらい舟の方が適しているのだそうです。
海で使うものなので、鉄製の釘ではすぐ錆びてしまいますので、この竹釘が使われます。

はんぎりの作り方
たらい舟の作り方

たらい舟は全部で約40枚の横板を並べて、竹釘でつなげていきます。緻密な大工仕事と桶職人ならではの木材の吸水と膨張率など素材の特性を熟知した熟練の技で組み上げていきます。金子さんはたらい舟(はんぎり)の作り手でもあり、漕ぎ手でもある故に、使い勝手も熟知しているので、桶職人や大工さんには無い知恵と知識があり、まさにたらい舟職人さんとしての熟練の技があるお方です。

たらい舟の作り方
たらい舟の作り方
宿根木はんぎり

見ている間に次々と横板が継がれていき、木槌の音が工場に鳴り響きます。木で出来ているので、水を含めば膨張しますし、乾燥すると収縮します。陸に上げておくと当然乾燥するので、そういった手入れも必要になるのだとか。最近ではFRP(繊維強化プラスチック)などでコーティングしたたらい舟がありますが、木が呼吸しづらくなるので、腐りやすくなるのだとか。

たらい舟修復

この棕櫚(シュロ)の繊維は、水漏れする隙間に詰め込み浸水を防ぐ役目があるそうです。昔は乾ききった和船の船底から浸水したら、この棕櫚を詰めて防水していたことから、たらい舟にも使われたのだとか。

たらい舟作りの道具
たらい舟制作の道具

大工道具でも、やはり普通の大工さんが使わないような道具もいくつかあるようです。特にノコギリの形状や刃渡り、鉋の種類など、特殊なものが多いような気がします。

たらい舟の箍
竹の箍を編む

こちらはたらい舟の箍(たが)です。竹で箍を編んでいくのですが、このように長い長い竹を丁寧に割いて編んでいきます。これを嵌めればいよいよ完成に近づいていきます。
このように木と竹だけで舟が作られているんですね。この竹は切る時期も重要だそうです。これをたらいの円周に合わせて編み上げるのも、とても技術のいる作業だそうです。(本人は簡単だよと言いますが、、、)

たらい舟制作 たらい舟制作

最後の板が嵌り、ぐるっと一周横板が繋がりました。あとは箍をハメればいよいよ「たらい舟」らしくなってきます。最後の板ってどうやって叩くんだろう?と思っていたら、板と板の段差のところを叩いて嵌めるんですね。あとは箍を嵌める時にギュッと締めるので、きっちり隙間がなくなるそうです。

たらい舟ミニチュア

作業場の棚にはミニチュアのたらい舟が置いてありました。なんとも可愛らしい感じですが、作る工程は一緒なので、手間はかかるでしょうね。ちなみに、たらい舟一艘いくらぐらいですかとお聞きしたところ、30万で出来るとのこと。一艘欲しい!という方、またディスプレイで使いたい!という方はぜひ金子さんにコンタクト取ってください。

金子啓次さん Facebookアカウント

金子さんは冬はスキーのインストラクターもやっていて、年中お忙しい方なのに、合間でたらい舟も制作しているって本当に凄い。今度は時間を作って、金子さんのご指導の元たらい舟を漕ぐ修行をしたいと思っております。

佐渡島絶景フォトガイド 出版しました

佐渡島絶景フォトガイド

この度、佐渡PRフォトグラファー伊藤ヨシユキこと、ご縁の宿伊藤屋6代目番頭が本を出版しました。7月4日には新潟市内の蔦屋書店河渡店にて、出版記念イベントがあり、7月7日には新潟県内販売開始、7月15日には全国販売開始となります。Amazonでは15日から販売開始となります。

こちらからも購入可能です。
ご縁の宿伊藤屋公式オンラインショップ

この本は写真集ではなく、ガイドブックとして出版いたしました。
何故ガイドブックにしたのかというと、写真集だと本屋さんの本棚の置かれている場所が大抵奥の方に置かれていますし、風景写真の写真集ではあまり手にとってもらえないかもしれない。ターゲットである旅行者が見るのはガイドブックであることから、佐渡の絶景スポットをガイドするガイドブックであれば手にとってもらいやすくなるだろう。そんなことから、ガイドブックとして出版することにしました。

ガイドブックといっても観光ガイドではなく、フォトガイドですので、るるぶやまっぷるといった飲食店情報や、宿泊情報、ショップ情報などは一切なく、その絶景が一番美しい季節や時間帯や撮影ポイントをガイドしたものであり、あとはアクセス情報などを入れた他にはあまり見ないガイドブックとなっています。

佐渡島絶景フォトガイド

本の帯に入れてある「あなだだけの一枚がきっと撮れる!」は、私が撮影したものより、空の状況が違うでしょうし、海の状況、光の加減、機材が違えば、構図も違うでしょうから、きっとあなただけの絶景に出逢えるはず。そして、それを映していただきたいし、それを多くの方に見ていただきたい!そんな想いを込めて掲載しました。

もともとトレッキングガイドや観光ガイドなどもやっていたので、ガイド目線での気付きやお客様から教えていただいたことなどを、たくさん本に詰め込んだつもりです。

佐渡島絶景フォトガイド
佐渡島絶景フォトガイド

今回この本を出版するにあたって、協力いただいたのが「新潟発R」という冊子を手掛ける出版社ニールさん。以前新潟発Rの写真を提供したこともあり、本を出したいということをお話すると、快くご協力いただきました。

ただ、本の出版する直後からコロナ禍が始まり、おまけにスタッフが辞めるなど、たくさんの苦難が同時に降りかかり、出版するのを何度もやめようかと悩みました。そんな中でもニールさんの応援もあり、スタッフの応援もあり、家族の支援もあり、なんとか出版しカタチにすることが出来た本です。毎日寝る間を削りつつ、編集校正したのも今となっては良い思い出となりました。

本を出版すると印税で儲かるのではないかと簡単に思う方もいらっしゃるでしょうから、はっきり申し上げますが、、、ぜんぜん儲かりません(苦笑)

Amazonでご購入があっても、ほぼほぼ手数料で自分の手元に残るのは1割あるかどうか。大手本屋さんに置いていただいても、手配する代理店、本屋さんへの手数料などがあり、手元に残るのは2〜3割程。もし、私の知り合いで自費出版したい!って言う人がいたら、間違いなく「やめた方がいいよ。よく収支考えたほうがいい。」と止めます(笑)

それでも、この本を出版すれば佐渡に行きたい!という人が増えると想います。そして、その方が絶景に出逢えて素晴らしい写真を撮影し、その写真を見た人が行きたい!となるかもしれません。その可能性が増える本だと思っています。また、佐渡金銀山が世界遺産の国内推薦を得られ、注目された時、佐渡にはこんなところもあるんだ!と気づいてもらえるかもしれない。また佐渡島民、新潟県民が新たに佐渡の魅力に触れることで、自分たちが広告塔になり、お客様を案内し、佐渡の魅力を伝える伝道師になるかもしれない。
そんな一冊になるといいなと想っております。

この本で紹介しきれなかった素敵なところもいっぱいあります。
佐渡は広く、奥深いです。ぜひ、佐渡にお越しになって、素晴らしい景色や文化に出逢っていただきたい。
そんな手助けが出来たら幸いです。

本を購入された方が、素晴らしい佐渡の絶景に出逢えることを願っております。

佐渡PRフォトグラファー 伊藤ヨシユキ

あめやの桟橋

こちらからも購入可能です。
ご縁の宿伊藤屋公式オンラインショップ

佐渡島絶景フォトガイド新潟県取扱店 (7月17日現在)
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何故?佐渡牛が美味しいのか秘密を探るべく、堂林放牧場へ征く。

佐渡の金井地区の山手にある、佐渡市の管理する堂林放牧場へお邪魔しました。
勝手に行ったわけではなく、今回は佐渡市役所農業政策課 生産振興係の方のご許可とご案内をいただくべくアポをとっておきました。

今まで、牛の生産者の方やJAの方からお話を聞くことはあれど、行政の方から畜産のことについてお話を聞くのは初。堂林牧場に到着すると、さっそく遠くの方から牛を呼び寄せる役所職員。市役所の職員さんが飼育のことをガッツリやれることにびっくりですが、知識量が生産者さんと同等かそれ以上なのではと感じざるを得ません。

今回の目的は牧場のドローン撮影と、牛の様子を撮影させていただくべくアポをとっていたわけですが、佐渡牛の畜産知識についても市役所職員さんからお聞き出来たので、備忘録としてブログに綴っておきます。

堂林放牧場の佐渡牛を撮影したYouTube動画はこちらです。

堂林放牧場は金井地区の平清水をさらに上がった山の高台にあり、国中平野を一望出来る眺めの良い場所。牛さんたちも気持ちよさそうに、草を喰み、のどかな牧歌的風景の典型的ともいえる景色を堪能できます。この放牧場は佐渡市の公共牧場となっていて、広さはおおよそ20ヘクタールあるそうです。
佐渡島の牧場は他にも、関岬放牧場、青木牧場、坪山牧場、経塚放牧場、二ッ岩牧場とあります。

堂林放牧場に入牧させるのは、4月下旬ころ。放牧される牛は、ほとんど繁殖牛で肥育牛の放牧はしません。入牧させる際には、牛たちは大喜びで飛び跳ねたり、柵を飛び越えてしまったりと大はしゃぎするそうで、その様子も見てみたいものです。中には興奮のあまり有刺鉄線に突っ込んで怪我をする牛もいるとか。

撮影に訪問したのは10月頃でしたが、わらびの成長した株がいくつもあり、きっと早春はわらびでいっぱいなのでしょう。市役所職員さんに聞くと、たまに牧場見学のついでにわらび採りもする方もいらっしゃるようで、むしろありがたいとのこと。牛はわらびを食べることはないが、牧草がなくなると食べてしまうこともあるのだとか。わらびを食べるとわらびの中毒成分であるプタキロサイドによって骨髄機能が障害され、血液凝固不全が起こり、出血により重症の場合は1〜3日で死んでしまうこともあるのだそうです。

また、ちょっとした窪みに嵌って起き上がれなくて牛も死んでしまうことがあるとか。約500kgある巨体の牛は自分で起き上がることが出来ず、胃の中のガスが排出されず胃が膨張し、心臓を圧迫して死んでしまのだとか。起き上がれない牛を見つけたらすぐに起こすそうです。

畜産農家の方は、春の放牧で牛を預けて秋まで放牧させます。もちろん経費はかかりますが、預けている間に田んぼをやったり、他のことが出来るので良いのでしょうね。肥育より繁殖をやる畜産農家さんが多いことも頷けます。肥育の場合は自分の牛舎で育て、毎日の世話があるので、旅行にも出かけられないと聞いたことがあります。

放牧場にぽとりと置いてあったレンガのようなものを、牛が舐めていたので、市役所職員さんにお聞きすると、これはミネラルブロック(鉱塩)といって、尿石症の予防や微量ミネラルの補給のために置いてあるそうです。牛も自分のカラダに必要なものを、わかって摂取するんですね。
余談ですが、家の玄関入り口に盛り塩をするのも、牛の舐塩行動が由来するそうで、平安時代の頃、縁談を待つ女性の家の前に盛り塩をし、牛舎に乗った男性貴族を立ち寄らせようと、牛を足止めするのを目論んで置いたのがはじまりだとか。

佐渡牛は黒毛和種という和牛の品種ですが、よく見ると茶色です。黒ぽい茶色といいましょうか、焦げ茶色というか、そんな色をしています。肥育牛の牛舎の中にいる黒毛和種の牛は、それこそもっと黒っぽいのですが、どうやら放牧で外にいると紫外線により毛色も茶色っぽくなるようです。ちなみに、生まれたての子牛は茶毛です。

放牧場は豊富に草が生えているので、資料として牧草を与えることは牛小屋で育てるよりは少ないのですが、ゼロではなく、時々与えています。減反で青刈りした稲わらを乾燥させ発酵させることで、カビが生えないようにするのと、ビタミンやミネラルを凝縮するのと、乾燥した牧草を食べることで唾液分泌が多くなり、第一胃の内の働きと発酵を良くし、胃の健康維持にも役立つのだとか。
佐渡のトキの棲む田んぼで、安心安全な稲わらを食べて、ミネラル豊富な牧草を喰み生活している佐渡牛たちから、健康的な子牛が生まれ育ち、天塩にかけて育てられているのだなと感じました。

今回撮影させてもらって、知られざる牧場での牛の生活を垣間見ることが出来ました。
牛舎でのお話も色々とお聞きしたのですが、今回は書ききれないので、また牛舎に取材に行った際に記事にしたいと思います。

美味しい佐渡牛が出来るまで、色んな人の手がかかっているのだと認識しました。
感謝して、いただきます。