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昭和8年建造の客室を和室ベッド部屋へとリニューアル

和室ベッド部屋

うちの旅館は1878年(明治11年)創業で、その頃の建物は昭和8年に改築されました。昭和8年の頃の建物ですから、トイレも洗面所もなく、いつかトイレ付きのお部屋にしたいと思っていました。丁度観光庁の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」という補助金のお話をいただき、今回のリニューアルへと踏み切りました。

とはいえ、細かいプランなどなく、ただお部屋にベッド付き&トイレ洗面付きにしたいという思いだけで、重要な設計をどのようにするかを悩んでいました。ちょうど良いタイミングで、隈研吾建築都市設計事務所の今井博康さんを知人から紹介され、このプロジェクトを引き受けてくださいました。

今回の工事にあたり、なるべく地元のものを使いつつ、地元の業者で手掛ける。これが私の工務店への依頼でもありました。
旅館のリニューアル工事を引き受けてくださったのは、地元羽茂の藤栄工務店さん。たまたま近所の工事に携わっていたところ、うちもお願い出来ないかと相談したところ、快く引き受けてくださり、施工も打ち合わせも丁寧で、信頼のおける工務店さんです。

いざ工事が始まると、床の高さは建物の歪みからバラバラで、水平にするために追加工事が必要だったり、柱の補強が必要だったり、排水用の配管が通せない作りだったりと、予想していなかったことが沢山噴出しつつ、昨年12月24日の大雪で各地で被害が出て、工務店さんも設備屋さんも各地回らなくてはならない状況に、コロナでスタッフの方が休み、尚且つ海が荒れて部材が入って来なかったり、コロナ禍で部品がなかなか入ってこないという状況もあり、苦難ばかりのリニューアル工事となりました。

違い棚

リニューアルしたお部屋は2部屋を繋げて、1部屋にすべく広さも贅沢にした快適な作り。昭和8年の床の間はそのまま残し、古いものと新しいものが共存する空間。そして今井さんの意匠である、浮いたように見える座敷。そこにベッドを置く。そんなデザインになりました。

この浮いたように見える座敷は、内覧会に来た方たちも不思議そうに覗き込み、どうやって作ってあるのだろうと乗ってみたり押してみたり、人の興味を惹くデザインとなっているようです。普通は畳を抑えるための枠がついたり、抑えのための金具がついたりするわけですが、地元の畳屋さん、工務店さん、設計の今井さんとで、このデザインを実現するためにどうしたら出来るのかを悩み、試行錯誤しつつ完成した共同合作の「浮いたように見える座敷」なのです。

浮いたように見える座敷

その他にも沢山の工夫とこだわりを詰め込んだこのリニューアル工事ですが、これからブログを頻繁に更新すべく徐々にお伝えしていこうと思います。
4月15日の12時より予約受け付け開始となります。島開きに合わせてリニューアルオープンとさせていただきました。
このお部屋のお泊りの値段ですが、お一人様1泊2食付きで 18,000円~(シーズンや曜日により変動)となります。
ゴールデンウィークはまだこのお部屋は空いていますので、佐渡にご旅行の予定がありましたら、お泊りお待ちしております。