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世界遺産石見銀山と世界遺産佐渡金山の関係

新潟駅から車で915km、島根県大田市大森町にある石見銀山に行ってきました。
飛行機であれば羽田や仙台から出雲空港から電車とバスに乗り換えて辿り着けます。

石見銀山は2007年7月2日に「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界文化遺産に登録されました。
佐渡金山は2024年7月27日に「佐渡島の金山」として世界文化遺産に登録されました。

実はこの2つの世界文化遺産には深い繋がりがあります。
佐渡と石見に奉行として務めた人物・大久保長安。この2つの鉱山の町作りや鉱山経営を成功に導いた人物で、佐渡で金が採れるようになり、多くの人材が佐渡に投入されることにより、食料需給を上げるため、石見から漁師集団を佐渡に引き入れます。漁の仕方や魚の保存加工の仕方など学ばせて、そのまま佐渡の姫津という地域に住む方もいて、その地域には石見という苗字の家が沢山あります。
また、役目を終えて石見に戻る漁師たちが佐渡で学んだ佐渡おけさを、盆踊りになると踊っているそうです。

大久保長安の逆修塔も石見にも佐渡にもあり、共通する部分は沢山ありそうです。
今回は龍源寺間歩にガイドしていただき、その後町並みをガイドしていただいたわけですが、ガイドしてくれたのは石見銀山ガイドの会の会長さんである、安立さん。
予め佐渡島から行きます!というのと、大久保長安の繋がりを識りたいのです!とお伝えしてあったので、その家臣である宗岡佐渡、吉岡出雲のお墓もご案内してくださいました。石見と佐渡を行き来した江戸時代、おそらく何日もかけての移動だったでしょうけど、そんな交流があったのだなぁと石見銀山を見て感じました。

坑道に関しては、佐渡金山の方が観光地化が進んでいて、ガイダンスや坑道の広さなども団体対応的(昭和の観光的)で、商業的な観光としては良さそうではあります。石見銀山は地味ではありますが、その分町並みがそのままであり、情緒が保たれていて好みではあります。

佐渡も世界遺産登録となったので、佐渡金山のガイドをしている方と、石見銀山のガイドをしている方と情報交換をしつつ、交流がなされるといいなと思います。石見銀山のガイドしていただいた内容については、また後ほどブログでまとめたいと思います。

宿根木の岩屋山石窟お籠り神事

岩屋洞窟

宿根木にある磨崖仏で有名な洞窟の岩屋山。地元の方には岩屋さんとして信仰の地として親しまれている場所ですが、毎月17日になるとこの洞窟でお籠りがあるらしく、たまたまその日に縁があってお邪魔することに。
この洞窟は相川の岩谷口にある岩谷山の洞窟と繋がっているという説もあり、その昔犬を放したら、相川の洞窟から出てきたというお話を聞いたことがあります。現実的にはそこまで繋がっていないと思いますけども。また、洞窟の周りには八十八の石仏があり、そこをぐるりと回りお参りすると八十八ヶ所巡礼したのと同じ御利益があるといいます。この石仏は真野椿尾の石工の作だと言われてます。

八十八の石仏

だいたい9:00ぐらいから集まり始めると思うという情報をいただいていたので、少し早めに到着し、先に観音堂と洞窟内の観音様にお参りを済ませておきました。観音堂の聖観世音菩薩は8月の17日のみご開帳するらしく、以前は洞窟内に安置されてあったようですが、洞窟内は湿気が多いので外に観音堂を建て、そこに観音様を移したそうです。

観音堂

やがて一人のおばぁちゃんが荷物を抱えて、階段を上がってくるのが見えました。
お花やお供えものを担ぎ、下から長い階段を上がってきたのでしょう、途中休み休み観音堂へと続く階段をゆっくりと上っていきます。
「なんまんだぶ、なんまんだぶ」
念仏を唱えながら階段を上がっていきます。

宿根木のおばあちゃん

おばあちゃんは、念仏を唱えながらご自分で作ったおにぎりやお菓子などを並べて、自分のところで育てたお花をお供えし、ろうそくに火をともします。
また一人観音堂に上がってくる方がいらっしゃって、今度は団子をお供えしました。積み団子とか枕団子というやつでしょうか。ご自分の家で上新粉で作るそうです。

お供え物

線香を立てて、お経を取り出すと「私はお経を唱えてからお籠りの方に行くので、どうぞ先に行っててください。」と、お気遣いのお言葉をいただき、この信仰深さと優しさに触れ、尊敬の念が湧いてきます。当たり前のように続けてきたお参りお籠り、この地を大切にし、感謝と施しを忘れないこのおばあちゃんに、深く関心しました。

御真言

あまり念仏のお邪魔をしてはいけないので、洞窟の方に向かうと若い奥様が火を起こしていました。祭壇のろうそく火を灯し、お籠りの準備をしているようです。
洞窟内はまだ肌寒い感じでしたので、この火があることで暖かいのですが、煙も洞窟内にこもるので、もやもやしています。
夏にはこの煙が虫除けの効果もあり、多少熱くても火を起こすのだとか。

焚き火

観音堂にいたおばあちゃんが洞窟入り口まで来られました。今度は入り口の周りにある八十八体の石仏の最初と最後だけお花をお供え。
風で飛んでしまった石仏の帽子をかぶせてあげる姿に、慈愛と信仰心を感じ、なんとも心が温まります。
おばあちゃんは「なんまんだぶ、なんまんだぶ」と唱えながら帽子をかぶせてあげます。

石仏

洞窟最奥に祀られている観音様は、十一面観音。石仏なので朽ちることはないのでしょう。
とても保存状態がよく、キレイにしてありました。写真でもわかるとおり、十一面観音のシンボルでもある頭の上に顔が精巧に掘ってあります。この十一面観音の後ろには、さらに奥へと続く洞窟が広がっているようです。ちょっと入り口が狭いので、這っていかないと入れなさそうですが。

十一面観音

経本を開き、合唱しながらお経を皆さんで唱えます。洞窟の中なのでお経が反響しつつ、薄暗い中にろうそくの明かりが灯り、とても神秘的な様相です。
昔は当館の近くでも5人組という制度があり、5人組の葬式には皆さんでお経を唱えるべく、月に一回ぐらい集まりお経の練習のようなものをしていたのを今でも覚えております。こうした地域ぐるみの信仰というのも薄れていったような感じがしますが、宿根木ではこうしてまだ残っているのですね。

念仏

念仏が終わると、お供えの団子を焚き火のところにくべて焼きます。これを食べるとご利益があるということでいただきました。
こういった地域の信仰の場に立ち入るのが、恐縮すぎて申し訳ない気持ちでしたが、暖かく迎えていただきつつお団子までいただき本当にありがとうございました。
この場をお借りして感謝を申し上げます。

お供え団子
お供え団子

宿根木はとても信仰心厚く、町並み保存地区の奥にある称光寺では絶やすことなく、お墓に花が添えられています。
それもほぼすべてのお墓にキレイなお花が供えてあり、お花をお供えする方が他のお墓にもお供えするのだとか。もし宿根木を訪れることがありましたら、お供えのお花の美しさに信仰心を感じていただけたらと思います。

当館から岩屋山石窟までの地図

佐渡金山の新コース無名異坑(山師ツアー)

佐渡金山無名異坑

2018年4月からオープンした無名異坑コースに行ってきました。ここは上級者向け(マニアックでモノ好きな人向けw)の山師コースという、予約しないと入れないガイド付きのコースです。
通常は「宗太夫坑」コースで、こちらは江戸時代の坑道を掘っている様子を再現した人形がいるコース。地元の方は遠足などで行ったという方も多いですし、新潟県内の方なら小学校のときに修学旅行で訪れたという方も多いです。「道遊坑」コースは佐渡島内の方でも行ったことがないという人の方が多い、明治~昭和にかけての坑道の様子を公開したところ。

あとはガイド付きの予約しないと行けない2つのコースがあり、「ガイド付き世界遺産ツアー」と「ガイド付き山師ツアー」です。
世界遺産ツアーは既に行ったことがあったので、このガイド付き山師ツアーを申し込みました。

無名異坑
無名異坑

こちらは事前に予約が必要で、4月~11月まで入れます。一組2~10名までの制限があります。
坑道内は水たまりもあり、長靴が無いと歩けないのですが、長靴、ヘルメット、軍手、ライト、服が汚れないように雨合羽を佐渡金山の方が用意してくれます。この日は私達だけで貸し切りツアーでした。
料金は大人2400円、中学生1200円で、所要時間は100分程度だそうですが、私達は大切山の坑道は既に入ったことがあるので、大切山はパス。
佐渡金山の山師探検ツアーで大切山抗の坑道内へ探検!(佐渡世界遺産になる前に急げ!)

無名異
無名異

入り口から入ると、早速鉄分を含んだ赤い岩や土が見えてきました。
無名異焼は金鉱石を溶かすため、炭に空気を送る羽口と呼ばれるパイプの部分に使われました。人間国宝の伊藤赤水さんは元々は羽口屋さんだったそうです。

坑道
白カビ
白カビきらきら

坑道に入るとところどころが、白くキラキラしているものが見えるのですが、これは白カビだそうで、その白カビに坑道内の湿気が水滴となって付いて、ライトの明かりでキラキラ光って見えるようです。このキラキラしているのが、本当に綺麗なのですが、まぁカビです。

線路
トロッコ用線路

坑道内はトロッコの線路があり、鉱石を運んでいた当時を彷彿とさせます。前日雨だったせいか、ぬかるんだ感じになっており、長靴が無かったらきっと泥だらけでしょうね。また、壁もしっとりと濡れている感じですので、迂闊に触ると泥が付きます。カバンなどが付かないように気をつけましょう。

坑道内ランプ

ここで、当時のランプの明かりがどれぐらいだったのかというのを、体験します。燈明皿も無名異焼で作られています。この燈明は流石にろうそく並の明るさですから、これだけで坑道内を歩くのは非常に困難。時代とともに、灯りも進化してより明るく、遠くまで明かりが届くようになっていきます。

キクガシラコウモリ

坑道内にはコウモリがいるとのことでしたが、このコースは遭遇率は高そうです。ちなみに、キクガシラコウモリに出会えました。

無名異焼

坑道の中程に差し掛かると、無名異焼の作品が並べられ、無名異の土のサンプルも置いてありました。この土は門外不出で佐渡島外へ持ち出しが禁止されております。焼き上がった無名異焼の作品はお買い上げいただき持ち帰りが出来ます。無名異の土は昔は薬としても用いられ、血止め、胃腸薬などで使われたそうです。

坑道出口

この中程のところでは、「ほ~らいら、ほ~らいら♪」とやわらぎという歌が聞こえてきます。どうやら、宗太夫坑の出口付近が直下らしく、下から歌が聞こえてきます。ぐねぐねと入り組んでいるので、方向感覚がわからないのですが、無名異坑の入り口からググっと左側にある宗太夫坑の出口へと歩いていったのですね。

ダンジョン
ダンジョン

坑道はまだまだ続き、ガイドさんの説明を聞きながら進みます。途中ヘルメットを何度かぶつけてしまいましたが、身長が高い人は気をつけてください。勢いよくぶつかれば首やられますので・・・。

トロッコ
トロッコ

線路に頓挫しているトロッコ。明治時代のものと思われますが、朽ちた感じが時代を感じさせます。ここに鉱石を山盛りに積んで鉱夫たちが手押しで運んだのでしょうね。

鉱石
坑道入口

このトロッコが置いてあるところらへんが、一番奥らへんでして、そこから元の道を引き返していきます。滅多に来れない(二回来ようという人は中々いないと思われますが)ので、もう一度よ~く目に焼き付けつつ撮影しながら引き返します。

金鉱石

最後記念にということで、金鉱石をいただきました。
数に限りがあるかも知れませんので、欲しい!という方はぜひこの山師コースをご予約ください。もしくは売店に販売している金鉱石をお買い求めください。

佐渡金山公式HP
http://www.sado-kinzan.com/
〒952-1501 新潟県佐渡市下相川1305番地
電話:0259-74-2389 Fax:0259-74-3235
営業時間 4月~10月 / 8:00~17:30 11月~3月 / 8:30~17:00

当館から佐渡金山の無名異坑コースへの地図