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長安寺にあった順徳上皇の書「祈祷」の勅額を雲洞庵へ見に行く

雲洞庵

以前長安寺を訪れた際に住職であるおばあちゃんが本堂の額を指して、これは模造品で本物は雲洞庵にあると。上杉景勝が佐渡責めの際に長安寺も本間家の息のかかった寺であるため、お寺にあった宝を持ち去ったそうで、その一つが順徳上皇の書である「祈祷」の額。ネットで検索してもなかなか出てこないので、どうしたものか?と調べてみたくなりました。

雲洞庵の土踏んだか
雲洞庵

南魚沼にある雲洞庵は大河ドラマの「天地人」でも舞台になって、雲洞庵の土踏んだかと言われる越後でも名高いお寺。このお寺の参道には梵字が書かれた石が地中に埋めてあるそうで、参道の土を踏みしめるだけでご利益があるのだそうです。参道にある仏像も苔むして時代を感じさせます。ちなみに拝観料はお一人様300円。

雲洞庵本堂
雲洞庵本堂内

順路に従い本堂にたどり着くと、早速順徳上皇の額が掲げられている内陣へ。途中長生きの水や立派な錫杖や仏像もありましたが、あまり時間も無かったのでサッと目を通しただけですが、沢山見どころのあるお寺でした。ちなみに、室町時代に上杉憲実公によって建立された本堂は、新潟県の指定文化財にもなっているそうです。

順徳上皇の勅額
祈祷の額

これが順徳上皇がお書きになった「祈祷」の額。元は佐渡の長安寺に掲げられていたであろうその額。越後の方に言わせれば「寺が進呈したものだ」とのことですが、長安寺から言わせれば「奪われたものだ」とのことでした。どちらが本当なのか、これは時代をさかのぼってみなければわかりません。私は順徳上皇のお書きになったその書を拝見出来ただけで、そして元は長安寺にあったものが、ここに無事掲げられているというだけで、それを見られたので満足でした。ちなみに、長安寺に掲げられているのは色が違いますが、書体は同じですし、その写しであろう掛け軸もありました。

長安寺
祈祷の額
祈祷の掛け軸

実はこれだけでなく、持ち去った宝物の中に朝鮮鐘(国の重要文化財)もありましたが、重すぎて船に乗せられず、佐和田の真光寺に預けられていたものが明治頃になって長安寺に戻されたとか。住職曰く、この時にも諍いがあり、真光寺の方たちは鐘が真光寺に戻りたいと鳴っているといい、長安寺の周辺の方々は長安寺に戻りたいと鳴っているといい、しばし争いがあったのだとか。

長安寺の朝鮮鐘

子供のときにはこうした歴史は全く興味が無かったのですが、大人になってこうして歴史の紐を解いて辿ってみると、案外面白いものですよね。この長安寺には他にも素晴らしいものがあり、木造金剛力士立像が仁王門にあるのですが、これが実に素晴らしい。

長安寺仁王門
木造金剛力士立像

杉材で作られた迫力ある姿ですが、時代経過とともに、杉の木目が強調されていくのを計算されて作られたそうで、眼球のところや鼻のところなど、見事に木の年輪とマッチしていて、時代と共により一層迫力が増していく進化する木造金剛力士立像なんですね。佐渡市指定の有形文化財になっていて、鎌倉時代以前に作られたものだそうです。

さて、こうして長安寺にあった順徳上皇の勅額が雲洞庵に掲げられ、それを追い求め旅行をしたわけですが、ただ有名な観光地に行くだけでなく、こうした歴史を辿ったり、有名な方の足跡を辿ったりするのもまた旅の愉しみ方のひとつだなぁと感じました。(要はマニアックな旅ってことですけども)

当館から長安寺への地図

トキの羽根が拾えるかも?牛尾神社にお参りに行こう。

牛尾神社

毎年6月には薪能の演能がある牛尾神社。普段お参りに行く機会が無かったのですが、拝殿の彫刻がとっても素晴らしいのでその撮影に訪れました。カメラを変えたり、レンズを変えたりすると、また違った目線での撮影が出来ますよね。新たな気持で訪れると違った発見もあったりするものです。こちらの駐車場はちょっと入りにくいのと、出る時も車の通行量がある道路に面しているので、なかなか出にくいです。裏手の参道もあるのですが、出来れば表側の参道をおすすめしたいです。

大鳥居

大鳥居をくぐると、凛とした雰囲気に包まれています。
左手に天満宮の薬師堂があり、正面には拝殿、拝殿横には能舞台、拝殿前には樹齢1000年の安産杉があります。参道の杉はどれも巨木でこの神社が古来から由緒ある神社であることが伺えます。

安産杉

天満宮の屋根は茅葺き屋根で、風情があります。

天満宮 薬師堂

こちらが拝殿です。正面、横にも見事な彫刻が施され、当時の棟梁の技術の高さが伺えます。立体的に掘られたこの彫刻は本当に見事なものです。
脚立を持ってきて、本格的に撮影したいなぁと思いました。望遠レンズでの撮影では細部の細部までは再現出来ません。

牛尾神社

主に竜の彫刻が多く、鱗のひとつひとつが丁寧であり、ディティールも素晴らしいです。作り手によってはまんが昔ばなしに出てくるような、ほんわかした竜の表情だったり様々ですが、こちらの彫り物は写実的な感じで迫力のある竜です。

竜の彫刻

竜の彫刻

獅子の彫刻

龍の彫刻

お参りを済ませて、鳥居をくぐると何やら羽根のようなものが落ちているのを発見。やや朱色がかったこの羽根はトキの羽根ではありませんか!
私はお参りの時には必ず100円をお賽銭として入れるのですが、ご利益があったのでしょうか。人生初のトキの羽根発見に、嬉しさを隠せません。(ということでブログ記事に)

トキを幾度となく撮影しておりましたが、トキの羽根を拾ったのは初めてです。確か記憶によれば、ワシントン条約により販売してはいけないし、国外に持ち出してはいけない。という規制があったと思いますが、これを拾ってはいけないということは無いというのをお聞きしたことがあります。また、他人に譲渡してはいけないという注意があったような記憶もありますが、正しくは環境省にお問い合わせください。
環境省トキ情報

トキの羽根

そういえば、この牛尾神社の近くをトキがよく飛んでいるので、その時に羽根を落としたのでしょうね。
おそらく近くにトキの巣があると思われますので、巣に近寄るのはやめましょう。そして、拾った羽根は他人に譲渡などせず大切に保管しましょうね。
以前、専門家の方に紫外線に当てるといずれ色が抜けると聞いたような気がします。とはいえ、金庫などに保管しては見れないので、飾るのであれば直射日光の当たらないところに飾ることをおすすめします。

ちなみに、このトキの羽根は伊勢神宮の遷宮で奉納される須賀利御太刀の柄に、トキの羽根が二枚使われているのです。20年に一度新調されるのですが、これだけトキが増えれば安泰ですよね。第63回式年遷宮は2033年ですから、その時には佐渡島以外でもトキが見られるかも知れませんね。

当館から牛尾神社までの地図

加茂神社夜能 演目 源氏供養

加茂神社能舞台

8月27日に加茂神社能舞台にて開催された夜能を観覧してきました。この日は安寿天神祭りが同畑野地区にて開催されており、大勢の人で賑わっているところから少し離れた神社で催されました。
ちなみに「夜能」と書いて「やのう」と読みます。

主催が畑野能楽クラブ一葉会さん。演目は源氏供養。

地謡

源氏供養は紫式部の亡霊が現れ、源氏物語の供養を怠ったため苦しんでいるところ通りかかった僧に供養を頼み、お礼に舞を舞うというお話。

加茂神社夜能

源氏供養

紫式部の亡霊

仏教では嘘をついてはいけないという、不妄語戒(ふもうごかい)という五戒のうちの一つがあり、紫式部の書いた架空の物語である源氏物語が不妄語戒に反するというのが源氏供養の由来だそうです。

安居院法印

安居院法印

Noh Performance

紫式部

夜能

能舞台

石山観音の化身

最後は光源氏の供養を果たし紫式部が消えていきます。

畑野能楽クラブ一葉会

毎年恒例となっている加茂神社夜能。
他にも佐渡には沢山の演能がありますので、ぜひ演能の機会に合わせてご来島ください。

2017年 佐渡薪能・狂言・ろうそく能スケジュール

当館から加茂神社能舞台への地図