環境省レッドデータで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている羽蝶蘭(ウチョウラン)。佐渡の自生地も一時の野生ランブームの乱獲により絶滅に瀕しております。また、温暖化の影響や法面工事などで撒かれる植物(イタチハギ等)の影響などで植生が変わり、絶滅してしまっている状態です。
今回訪ねたウチョウラン自生地でも、以前咲いていた岩場の斜面には木々が生い茂り、その斜面は壊滅的でしたが、逃げ延びて他の斜面でいくつか苗を見つけました。10mぐらい離れた岩肌の苔が乗る日当たりの良い場所に生き延びてました。
なかなかの断崖絶壁で近づいて撮影するのが難しいので、レンズを変えて撮影。
この他にもいくつか生き延びた個体があり、木が生えたり背の高い草が生えるような環境ではないので、この自生地の環境なら、しばらくは大丈夫ではないでしょうか。
また、同じ環境に変わった野生ランを見つけました。佐渡ではわりと少なくなったスズムシソウの仲間で、スズムシソウよりも背が高く、スズムシソウよりも遅く咲く、セイタカスズムシソウです。
スズムシの羽のような様相の花姿で、図鑑やネットでは見たことがあったのですが、今回初めて実物を見ました。新潟のレッドデータリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
そしてその近くにはジガバチソウもひっそりと咲いていました。クモキリソウ属にとっては良い環境なのでしょうね。
近くの川のせせらぎも美しく、帰り道には渓流釣りをしている方もいらっしゃいました。
帰り道で絶滅危惧種のオオアカバナを見てきました。環境省レッドデータ絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている希少植物で、福島、岩手、長野と新潟(佐渡島)のみに自生しているだけです。佐渡の自生地は毎年のように草刈りで一緒に刈られているので心配ではありますが、佐渡総合高校のバイオテクノロジー研究の恩恵で種から苗に育てて、別の環境の地に植えて保護しています。
まだまだこんな希少種が沢山ある佐渡島ですが、年々自生地の状態を知る人がいなくなってます。山野草に興味のある若い人も少ないですし、山野草に詳しい年配の方は足腰が弱り自分で行くこともままならなくなっています。植物に興味があれば、その成り立ちに対して、菌類、昆虫、動物などにも興味がいくので、結果環境についても学ぶことになると思うのです。
佐渡にはこんな希少な植物があり、その自生地の環境について憂うことで環境配慮する生活や行動につながると思っています。